乃木坂46

七瀬のことが好きな人たち【乃木坂46】

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A Girl Like Me 6

大園桃子・シンクロニシティ

愛が重いとよく言われる。仕方のないことだ。みんなが素敵だから、愛せずにいられないのだ。いまでも別れは恐ろしい。心を分け合った人が、いつもそばにいてくれた人が、いなくなってしまう。心が引き裂かれるのと変わらない。わたしは心が剥き出しなんだと思う。アイドルのわたしとして苦しいのではない。大園桃子として苦しいのだ。
2018年12月30日、シンクロニシティをレコード大賞の場で披露した。リハーサル終わりにみんなが涙を流しているのを見て、わたしは心がひとつなんだと思った。この苦しみも愛もひとつになって、わたし自身がここにいると実感できた。
踊りは心の言葉だ。あの時、わたしたちは雄弁に語り合っていたのだと思う。運命に導かれて同じステージに立つことは、偶然などではないのだ。
溢れる涙に理由などなかった。それはそばに誰かがいるから。言葉を交わしていなくても、心が勝手に共鳴するのだ。全く別の人生を歩んでいたわたしたちが愛を分かち合ったのだから。
少しは強くなれたのかもしれない。わたしがわたしであることが、乃木坂46が乃木坂46であることに等しいのだ。わたしがこう思うことが、みんなの一部なのだ。だから、思いが溢れて口を突いて出た。
「乃木坂も悪くないな」
何もない田舎から、こんなわたしが選ばれたのには意味がある。このシンクロニシティに立ち会うためにもわたしは必要な存在なんだと思えた。自分自身を肯定できたと思えた。涙で前が見えないわたしはいつのまにか飛鳥さんのにおいで包まれていた。飛鳥さんは声もなく泣いていた。こんなことは初めてだった。そして、確信したのだ。飛鳥さんはわたしと同じなんだと。
いつか飛鳥さんもこの場所を去っていくだろう。わたしの方が先かもしれない。その時、わたしはどう感じるのだろう。飛鳥さんはどう思うのだろう。でも、あの時は、その瞬間を抱きとめたかった。飛鳥さんの華奢な体が小さく震えていた。わたしとそんなに歳の変わらない女の子。3年前は、存在すらよく知らなかったのに、いまでは腕の中で心を曝け出してくれるのが、本当に幸福だった。
乃木坂46に入ることができてよかった。あの時、先輩の冗談を受け流していたら……。いや、そんなことはあるはずがなかっただろう。あの頃のわたしは、いまのわたしと共鳴していたに違いない。わたしが、わたしであるために、わたしはわたし自身に導かれたのだ。

A Girl Like Me
ーーfin

This is the fictional story inspired by 『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』.

この動画のURL:
https://youtu.be/0wKEwp1kKXc

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